はじめに

まずはじめに、骨粗鬆症の診断をつける際に留意しておきたいことは、「脆弱性骨折の有無の評価」がもっとも重要であるということです。

脊椎の椎体骨折、特に胸腰椎の椎体骨折や大腿骨近位部などの既存骨折が認められた場合には、骨密度の如何によらず骨粗鬆症と診断されることになっています。

既存骨折が認められない場合は、骨密度に基づいて骨粗鬆症の診断がされることになっています。

今回はこの骨粗鬆症の診断に必要な骨密度検査やレントゲン検査の実施方法についてまとめました。

骨密度測定による骨粗鬆症診断基準

骨密度の診断基準は原発性骨粗鬆症の診断を行うことを目的に作成されており、続発性骨粗鬆症の場合には適用することができません。

まずは骨密度の測定方法ですが、以下のような方法で行います。

  • DXA dual energy X-ray absorptiometry
  • MD microdensitiometry
  • QUS quantitative ultrasound sonography

どれも機械を用いて行う方法です。DXAは特に高価な医療機器であるため、どこの病院にもあるという訳ではありません。DXAは大腿骨近位部や腰椎、前腕骨の骨密度を測定出来るだけでなく、筋肉量などまで測定が可能です。

MDは第二中手骨を測定することが出来ます。QUSは2012年の改定でも骨粗鬆症の診断方法としては採用されていない機器ですが、超音波を用いて踵骨の骨量を測定することが可能です。比較的持ち運びも容易ですので、骨粗鬆症検診やその他、イベントなどの健康ブースなどで良く用いられています。

骨密度が1SD低くなると男女共に骨折リスクが1.5倍から2倍高まるとされています。(Marshall Dら,1996)

大腿骨近位部骨折は大腿骨頚部骨密度でもっとも良く予測できるとされていますし、その他の骨密度測定部位でもほぼ同程度に骨折の予測が可能とされています。

そのため、骨密度を測定することは将来の骨折リスクを予測するためにも重要になるわけです。

ⅰ)DXA

腰椎DXAでは前後方向L1〜L4またはL2~L4を計測し、側方向測定は診断に使用しません。大腿骨近位部DXAでは、頚部、転子部、全大腿骨近位部を測定します。

高齢者で脊柱変形などのために腰椎骨密度の測定が適当ではないと判断される場合には大腿骨近位部骨密度とします。またこれらの測定も困難な場合は橈骨骨幹部の骨密度を用います。

骨密度は骨折リスクの評価に有用であり、特に65才以上で有用とされています。骨密度がYAMの1SD以下(10~12%低下に相当)すると骨折タイプと測定部位の組み合わせによって、骨折リスクは1.5〜2.6倍になるとされています。

DXAのデータ解釈には以下の年齢と適用基準を元に考える必要があります。

  • 閉経後女性と50才以上の男性はYAMとの比較で評価する
  • 閉経前女性と50才未満の男性は、YAMとの比較ではなくZスコア(同年齢比較SD)で評価するのが良い。Zスコアが-2.0以下であれば年齢相当値から外れていると理解する
  • 50才未満の男性では骨密度のみで骨粗鬆症と診断をしてはいけない
  • 周閉経期の女性では原発性骨粗鬆症診断基準を適用しても良い

これらのことを留意しながら、データの解釈に進んでいかないといけないことに注意が必要です。

ⅱ)MD法

MDは末梢の皮質骨を中心とした骨密度を評価することができます。

MDは「原発性骨粗鬆症の診断基準2012年度改定版」でも骨粗鬆症の診断に用いることが出来るとされています。

ⅲ)QUS

本来は海綿骨の多い踵骨を測定部位としていますが、脛骨の皮質骨や橈骨の皮質骨、海綿骨を測定する装置もあります。

先にも述べましたが、本方法は骨粗鬆症の診断方法として使用はできません。人間ドッグや検診などでスクリーニングとして用いられることが多いです。

この方法の大きな利点は小児や妊産婦でも使用が可能であることです。欠点は測定誤差が大きいことです。

骨密度による判定は脆弱性骨折をすでに起こしてしまっているかどうかによって大きく意味合いが異なります。

レントゲン撮影による骨粗鬆症の診断方法

骨密度以外に重要な情報を得るための診断方法としてレントゲン撮影があります。問診で「いつのまにか骨折」を疑うようなことがあった場合は、レントゲン撮影を行い、既存の脆弱性骨折の確認を行う必要があります。そのレントゲン撮影より椎体変形を捉えるには2つの方法があります。

ⅰ)半定量的評価法(SQ法:semi-quantitative method)

側面レントゲン写真から椎体変形の程度を判定する方法のことです。

これは正常の形態(グレード0)を基準に、軽度変形(グレード1)、中等度変形(グレード2)、高度変形(グレード3)に分類します。グレード1以上に当てはまる場合を椎体骨折と判定をします。

ⅱ)定量的評価法(QM法:Quantitative Measurement)

椎体の前縁高(A)、中央高(C)と後縁高(P)を計測し、その結果を判定基準に用いる方法のことです。C/A、C/Pのいずれかが0.8未満またはA/Pが0.75未満の場合を椎体骨折と判定します。椎体の高さが全体的に減少する場合は、判定椎体の上位または下位のA,C,Pよりおのおのが20%以上減少している場合を椎体骨折とします。

実臨床場面ではSQ法を用いることが多く、この方法は疫学、臨床試験などでも用いられている方法になります。

脊椎椎体骨折は70歳から発生率の著明な上昇を認めるとしていますが、2/3が無症候性であるとも言われています。そのため、問診でははっきりと既存脆弱性骨折を聴き取ることができなかったとしても、実は脊椎椎体骨折があるかもしれません。レントゲン撮影を行なってみると、Grade1以上の椎体骨折が2~3箇所認めるなどということは臨床経験上良くあります。

また既存椎体骨折があると新規椎体骨折の相対リスクは約4倍、大腿骨近位部骨折のリスクは3~5倍になる(Kadowaki Eら,2010)としています。

早くに既存の椎体骨折に気づくことが必要です。

おわりに

高齢者の骨折ドミノを防ぐためには、脆弱性骨折の有無の聴取やレントゲン撮影による発見、さらには骨密度検査による診断を欠かすことはできません。

まずは、医療面接・問診でしっかりと骨折歴(家族歴も含めて)などを確認しましょう。

【参考文献】

生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド2019年版

・骨粗鬆症の予防と診断のためのガイド2015年版

・医歯薬出版株式会社 CLINICAL REHABILITATION 2018.10

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