骨転移に対する治療方法には薬物療法、放射線治療、その他装具療法などがあります。

今回はこれらの中でも薬物療法、特に骨修飾薬の効果と副作用について簡単に解説をしていきたいと思います。

骨転移の治療方法に薬物療法がありますけど、これってどういう効果があるんですか?

そうだね、まずは骨修飾薬がどんな効果があるのかを見てみようか

骨修飾薬の効果

骨修飾薬は骨関連事象(SRE)の発生を抑制する効果があるとされていることから、骨転移のある患者さんに対しては全例に使用すべきであるとされています。

骨関連事象とはskeltal related eventsの略でSREと書かれることが多いです。これは①骨転移による骨折、②脊髄圧迫、③高Ca血症、④骨転移に対する治療、放射線治療の5項目のことを指します。

このSREは、「治療が必要な骨転移の存在」を意味します。このSREがあることで患者さんの予後が悪化する、医療費が高騰するとされています。

骨修飾薬はこの化学療法や放射線治療、手術が必要な骨転移を減らすために使用されるのです。

SREについて詳しく知りたい方はYouTubeチャネル「リハビリ・ラボ」をご覧ください。

なるほど、骨修飾薬はSREの発生を抑制させることができるんですね。

骨修飾薬の働き

骨修飾薬には腫瘍細胞により活性化させられた破骨細胞の働きを抑制することができます。

破骨細胞の働きを抑制すると骨吸収が抑制されるようになり、悪循環が生じなくなります。そのため骨転移が完成しにくくなり、SREの発生を抑制できるようになるというわけです。

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骨修飾薬の種類

骨修飾薬の代表的な物としてビスホスホネートと抗RANKL抗体があります。この2つの薬剤は骨粗鬆症の治療薬としても有名ですが、骨転移の治療でもメジャーな物となっています。

ゾレドロン酸

ゾレドロン酸はビスホスホネートの1つです。ビスホスホネートは骨転移治療における中心的な薬剤となっています。

破骨細胞の抑制作用が強力な薬剤です。投与されると骨に沈着し、破骨細胞による骨吸収機能を抑制する働きをします。この時、骨吸収を活発に行っている活性化成熟破骨細胞を比較的特異的に抑制します。

ゾレドロン酸(ゾメタ®︎)によって最初のSREが発現するまでの期間や、SREの発生頻度を有意に改善することが示されています。その他にパミドロン酸(アレディア®︎)があります。

デノスマブ

デノスマブは抗RANKL抗体の1つです。破骨細胞の分化・機能を抑制する働きがあります。

これは骨間質細胞に存在するNF-kβ活性化受容体リガンド(RANKL)に特異的に結合し、その活性を阻害する働きがあります。

RANKLはRANKを介して破骨細胞の形成や生存、活性化をもたらしますが、デノスマブはこの流れを阻害することで破骨細胞を抑制します。

デノスマブもゾレドロン酸と同様に最初のSREが発現するまでの期間を有意に延長することができるとされています。

骨修飾薬で覚えておいて欲しいことの1つに副作用があるから、ここは必ず覚えておこう!

骨修飾薬の副作薬

骨修飾薬を使用している患者さんと接する時に知っておいておかなければならないことの1つに副作用があります。

この副作用が重度の場合は患者さんの身体に大きな影響を及ぼすため注意が必要になります。

顎骨壊死

骨修飾薬の投与に伴う顎骨壊死は「現在または過去に骨修飾薬の治療歴があり、顎骨への放射線治療歴や明らかな転移性病変がなく、口腔・顎・顔面領域に口腔内もしくは口腔外から骨に瘻孔を生ずるか、骨露出が8週間以上持続する状態」と定義されています。

この顎骨壊死はゾレドロン酸の1.3%、デノスマブの1.8%(Lipton A,et al 2012)に生じるとされていて、投与期間が長いほどリスクが増加します。

そのためきちんとした口腔衛生管理が重要であるとされていて、骨修飾薬の投与前に歯科検診を行うことが推奨されています。

主な症状は歯肉の痛み、腫れ、炎症、歯のぐらつき、顎の痺れ、だるい感じが続くなどがあります。

腎機能障害

ゾレドロン酸は腎臓から排出される薬剤です。クレアチニンクリアランス(Ccr)が60mL/min以下になると急性腎不全の発生頻度が増加するとされています。多くの場合は、可逆的かつ一過性です。

デノスマブの方が重篤な腎機能障害は少ないとされています。それはデノスマブは骨への蓄積性がなく、分子量が大きいため腎から排泄されないためだとされています。

デノスマブは腎機能障害を起こしにくい一方で、次に紹介する低Ca血症を引き起こしやすいとされています。

低Ca血症

骨修飾薬によって全身の正常な骨代謝の回転も抑制されます。そのため骨から血中に放出されるCaの量が低下してしまうことになるため、低Ca血症を生じることになります。

ゾレドロン酸の5.0%、デノスマブの9.6%(Lipton A,et al 2012)と発生頻度は高くはありませんが、デノスマブの方が生じやすいとされています。

主な症状は手足の震え、筋肉の脱力感、痙攣、痺れ、不整脈などです。

ラボデータで低Ca血症があり、身体所見も認める場合はDrに報告・相談するなどして注意しましょう。

もともと腎機能障害がある方では、Caの吸収能が低いため低Ca血症になりやすいです。

その他

投与後3日以内に急性期反応として発熱や骨痛、関節痛などのインフルエンザ様症状が生じることがあるとされています。ゾレドロン酸でその頻度が高く20%程度の患者に一過性に生じるとされています。

デノスマブでは蜂巣炎など皮膚感染症を生じることがあり、皮膚の赤み・腫れ・皮膚の痛み・発熱がある場合は疑うようにしましょう。

どうだ?結構、気をつけないといけないことも多いだろう

そうですね、しっかりとカルテ上で骨修飾薬を使用しているのか確認をして、副作用が出ていないか確認する必要がありますね。

そうだな、大変かもしれないけど1つ1つ確認しよう!

さいごに

骨転移のある患者さんに対してSREの発生を予防するために骨修飾薬を使用することは非常に多いです。投与することによる有益な効果があると同時に、副作用もあることも忘れてはいけません。

骨転移のある患者さんの治療が行われている時に、治療による疼痛の軽減などの有益な効果だけでなく副作用の影響などもみることができるようにしておきましょう。

参考文献

J.of CLINICAL REHABILITATION(クリニカルリハビリテーション)転移性骨腫瘍のリハビリテーション2016年2月号 25巻2号

がんのリハビリテーション

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