はじめに

【この記事をオススメする方】

  • 全ての理学療法士
  • がん患者と関わる機会の多い医療従事者

がん患者は近年、増え続ける一方です。その原因の1つに深刻な高齢化が挙げられます。今、医療現場では多くのがん患者さんが入院をされていて、医療者もその治療やケアに邁進しています。がん患者の治療やケアの1つにリハビリテーションが必要であると言われ、診療報酬上も「がんのリハビリテーション料」として認められるようになりました。今回はがんの治療法の1つにリハビリテーションが必要な3つの理由についてまとめました。

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リハビリが必要な3つの理由とは

その3つの理由とは①がん患者数の増加/生存率の上昇、②ロコモティブシンドローム、最後に③骨転移です。

これらは今後ますます問題となってくる可能性が高いです。そしてそれぞれが理学療法士、リハビリと大きく関係してくるため注目する必要があります。

1つずつ解説をしていきたいと思います。

がん患者数の増加/生存率の上昇

がん患者数は一貫して増加傾向にあります。この30年で実に患者数は3倍にまで上昇しました。2012年のデータでは812万人であったと報告されています。

がんの患者数は年々増加傾向にあり、その1つの大きな要因が高齢化によるものだとされています。

がん患者数の増加に伴って、がん死亡者数も増加傾向にあります。今やがんは死因の30%を占めており、死因の第1位になりました。

がんの統計’19では2019年のがん死亡数の推計は約38万300人になると予測されています。非常に多くの方々が、がんによって亡くなられるのですね・・・。私も祖父母も皆がんで亡くなりましたので、それを肌で実感します・・・。

男性は肺がんでの死亡が最も多く24%、次いで胃がん(13%)、大腸癌(13%)となっています。

女性は大腸癌での死亡が最も多く16%、次いで肺がん(14%)、膵臓癌(11%)となっています。

もはや、がんは珍しい病気ではないのです。誰もがなる可能性のある病気として認識をしなければなりません。

ということは・・・

今後も高齢化が進む日本国内で理学療法士として働くのであれば、がん患者と接する機会が増えるということです。

またここで重要なことは、がん患者の生存率も上がっているということです。

早期発見・早期治療が叫ばれるようになったこと、がんの治療方法が飛躍的に進歩していることなどが関係しています。

がんは確かに誰もがかかる可能性のある病気ですが、生存率も上昇しているため徐々に怖い病気ではなくなってきているのかもしれません。

ここでお気づきになった方もおられると思います。

がん患者の生存率が高くなっているということは、がんを既往に持つ患者と接する機会が増えるということです。

がん患者は多くの場合、身体機能が低下がしているため運動機能の低下や生活機能の低下の改善のためにリハビリが介入する必要性が増えるでしょう。

また退職する年齢がどんどん上昇してきていますが、これも影響してきそうです。どういうことかというと、がんの治療を終えたけど体力がまだ戻っていない人や、がんの治療を外来で継続させながら仕事をする人などが増えてくる、いわゆる、がんサバイバーが増えるということです。つまりこうしたがんサバイバーの方々の就労支援が今後さらに必要になってきます。

こうしたことから、私たち理学療法士もがんと関わる機会が今後どんどん増えていくことが予想されます。

がん患者に対するリハビリテーションの需要が高まる可能性は高いです。

がんとロコモの関係性によるもの

がんと筋骨格系の低下によるロコモは切っても切れない関係にあります。

どういうことでしょうか。

まずがん患者の多くは高齢者である(がん治療中の患者の平均年齢75歳)ため、すでに筋骨格系の機能低下が生じている可能性が高いということが言えます。つまりがんになる前から既にロコモである可能性が高いのです。

また抗癌剤や放射線治療により筋力・全身持久力の低下は必ず生じます。がんを治すための治療が、結果的にはロコモに近づけてしまうことになっています。

こうした治療を受ける患者が増加傾向にあることは先ほど説明しました。

こうしたことから、がん患者さんの筋骨格系の問題を改善するために理学療法士の力/リハビリの力が必要になってきます。

骨転移は理学療法士がみるべきもの

がんの患者さんのリハビリテーションを行う際に、悩まされるのが「骨転移」ですね。

骨転移の発症頻度についての報告は非常に様々で、きちんと分かっていません。およそ10~20%の頻度で骨転移が生じるのではないかと言われています。

骨転移は脊椎や骨盤、大腿骨近位部です。そして肺がんや乳がん、前立腺がん、大腸がんの患者さんに多いとされています。

ちょっと待ってください!このがんたちは、男性・女性に非常に多いがんではなかったでしょうか。ということは、骨転移を生じている患者と接する機会も多いかもしれないですよね。

また骨転移でも溶骨像があるものは骨折リスクが非常に高くなっています。そのため骨折リスクを軽減するためにコルセットを装着したり、起居動作の指導を行う必要があります。

これは普段の臨床現場の中で理学療法士が最も得意としていることではないでしょうか?

理学療法士の力、リハビリの力が骨転移の患者さんにも必要となるのです。

さいごに

がんに罹患した患者さんは今後、ますます増えてくるでしょう。それによって理学療法士が、がんの患者さんと接する機会がおのずと増えます。

理学療法士に出来ることはまだまだ多くあります。がん患者さんの病態を知り、治療方法を知り、理学療法士として何が出来るかをしっかりと考えておく必要があります。

患者数が増加していること、生存率が高くなっていること、ロコモとの関係性、骨転移などはがん患者の一面を表しているにすぎません。

もっと多く側面から捉えるべきです。多面的に1人の患者を理解しようとすることが最も大切です。今回の記事が皆さんの何か参考になれば幸いです。

参考文献

・公益財団法人 がん研究振興財団 がんの統計’19

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