はじめに

がん患者さんの血小板数減少はかなりの頻度でみられる有害事象の1つです。血小板が減少すると出血がしやすい状態になるため注意が必要です。そのためどんな薬が血小板を減少させやすいのか、減少した患者さんに対するケアの方法を知っていくことは重要です。

血小板減少と出血傾向

定義

血液中の血小板数が減少している状態。正常値以下の血小板数になると出血リスクが高まる。抗がん薬によって骨髄の造血幹細胞の分裂が抑制されることによって生じる。

血小板は骨髄にある造血幹細胞からつくられる細胞の1つです。

抗がん薬を使用することで造血幹細胞の分裂が抑制されます。これによって造血幹細胞が減少するため、血小板が血液中から少なくなってしまいます。

血小板の寿命は7~10日程度です。そのため抗がん薬が投与された7日以降より徐々に血小板が減少し始め12~21日で最低値になると言われています。

 

出血傾向はどの程度で生じるか

血小板減少により生じる出血傾向は以下のようになります。

血小板数が低下するにしたがってより注意が必要です。

また病棟では転倒に注意をするように見守る、患者さんに説明する必要があります。転倒して、頭部をうつことで出血をしてしまう可能性があります。

その他、私もリハビリテーションを行う医療従事者ですが、私たちが注意をしなければならないこともあります。

それは運動負荷設定です。過剰な運動を行うことによって筋肉や関節内出血のリスクがあるため注意をしなければなりません。

血小板減少時の病棟での過ごし方とリハビリの運動負荷設定とは?

 

血小板を減少させる抗がん薬

血小板の減少を生じさせる抗がん薬には以下のような物があります。

シスプラチン

がん細胞のDNAと結合し、DNAの複製阻害とアポトーシスを誘導

PE療法、IP療法、TS-1+CDDP療法、CDDP+PEM療法、MVAC療法

カルボプラチン

がん細胞のDNAと結合し、DNAの複製阻害とアポトーシスを誘導

TC療法、CBDCA+ETP療法

ネダプラチン

がん細胞のDNAと結合し、DNAの複製阻害とアポトーシスを誘導

代表的なレジメンは特になし

ダウノルビシン

細胞の核酸合成過程に作用し、直接DNAと結合し、DNA合成とDNA依存RNA合成反応を阻害する

DNR+Ara-C療法

ドキソルビシン

血管透過性が著しく亢進している腫瘍組織に長時間滞在し、腫瘍細胞内のDNAに安定的に結合して、抗腫瘍効果を発揮する

単剤投与

タキサン系薬

細胞分裂に重要な役割を果たす微小管の脱重合を阻害することで細胞伊死へ導き、抗腫瘍効果を発揮する

TC療法、CBDCA+PTX療法、weekly PTX療法

フルダラビン

血漿中で腫瘍細胞内の取り込まれたあと、DNA合成やRNA合成を阻害する抗腫瘍効果を発揮する

FLAG療法、FM療法、FLUBU療法

マイトマイシンC

DNA上に架橋をつくり、DNAの分裂を阻害する。DNAの複合を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する

MVP療法、フルオロウラシル+舞と邁進C

輸血の判断基準

血小板減少への唯一の対応方法は出血予防のための予防的血小板輸血です。

予防的血小板輸血は高価であり、感染症やアレルギー、同種免疫反応などのリスクに注意する必要があります。

固形がん、造血腫瘍に関わらず「血小板数1~2万/μLを維持する」ように血小板輸血を行います。

再生不良性貧血や骨髄異形成症候群の場合は5,000/μL前後で輸血を行います。

何度も輸血を行うことで血小板やHLAに対する抗体が出現するため、血小板輸血不応となることがあります。この時はHLAが適合した血小板を輸血するなどの必要性が生じてきます。

HLAとは?骨髄ドナーがなかなか見つからない理由

出血発生時の対応方法とは

皮下出血や粘膜出血を認めた場合は、外傷などの刺激を避け圧迫止血などで対応をします。

消化管出血、臓器内出血を疑う所見を認めた場合は、すぐに医師に報告をしましょう。この場合も血小板輸血か行われます。

出血を認めた場合は、出血の程度やバイタルサインなどはすぐに確認をするようにしましょう。出血部位、意識レベルなども注意深く確認をするようにしましょう。

出血リスクをあげないための説明

化学療法を使用する患者さんには事前に有害事象について説明を行います。

この時に、出血リスクを高めない、出血予防策を伝えると良いです。

POINT
  • 強く鼻をかまない
  • トイレでいきまない
  • 柔らかい歯ブラシを使用する
  • 確実な圧迫止血

 

その他、病室内での転倒の予防のための環境整備についての説明を行うと良いでしょう。スリッパなどはそれだけで転倒リスクを高めるものでもありますので、特に注意が必要です。

 

さいごに

がん患者さんの血小板数の減少が高確率で生じます。そのため必ず出会う有害事象といっても過言でもありません。血小板数の減少に対してしっかりとケアができるかどうかで大きく変わってきます。患者さんへの説明を行い、病棟全体で見守る必要があります。

この記事の参考文献

 

 

 

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