はじめに

オンライン診療が診療報酬上でも2018年4月から加えられるようになりました。また今回、COVID-19(コロナウィルス)の感染拡大に伴い、再度オンライン診療が注目を集めるようになり、一般社会にも少し浸透したのではないかと感じます。

今、オンライン診療やオンライン健康相談サービスにはどのようなものがあるのか、今ある事業を紹介していきます。またヘルスケア事業の展開と健康格差の課題について私の考えをまとめています。

オンライン診療サービス事業

オンラインでの診療に診療報酬が加えられてから、オンライン診療サービス事業は急速に発展してきました。

この事業の良いところは「忙しくて病院に何回も行くことができない」「遠方で通院が大変」「車の運転免許を返納したから通院が難しい」などの通院のための時間・手間のコストを大幅に削減できるところです。

これまで通院が困難であるということを理由に通院の中断をしてしまう人がかなりの数いました。通院の中断は疾病の増悪、合併症の発症に繋がるためこれらを避けることができる可能性があります。

またオンラインで患者の食事や運動、服薬の記録を確認してメッセージを送るなどの機能もあることで普段の患者さんの様子を知ることができます。それによってよりきめ細かな指導が出来るようになるなど医療の質が向上する可能性があります。

Live Call ヘルスケア

ビデオ通話を使い高い対面性を保持しながら遠隔診療を提供できるプラットフォームであり、柔軟なカスタマイズも出来ることから病院や診療所によって自由度が高いサービスです。

オンライン診療ポケットドクター

現在、株式会社オプティムはCOVID-19の院内感染拡大防止に貢献するため、2020年9月6日までオンライン診療サービスを医療機関へ無償提供しているようです。

【詳しくは】新型コロナウィルス感染症対策の基本方針を受け、「オンライン診療ポケットドクター」を医療機関に無料提供(2020.02.28プレスリリース)

「curon」

curon導入診療機関は全国にあり、一覧で公表されています。またcuronは今後、株式会社メディカルノートと協同で、COVID-19の感染拡大で必要とされるオンライン診療について、医療機関に対してはオンライン診療サービス「curon」の導入支援を、患者に対しては「メディカルノート」上でのオンライン診療実施医療機関情報の提供を開始するとしています。

【詳しくは】メディカルノートとMICIN、病院へのオンライン診療導入支援、医療メディアでの患者向け情報提供を開始(2020.05.11プレスリリース)

YaDoc

体重 / 血圧 / 脈拍 / 呼吸数 / SpO/ HbA1c / 体温 /血糖値 / 歩数 / 消費カロリー / 水分摂取量 / 飲酒量 / 喫煙本数 / 食事記録 などのモニタリング(HPより抜粋)が可能であり、問診も独自のものとしてカスタマイズが可能なサービスです。Appleのヘルスケアと連動していてデータを自動で取り込むこともできます。

first call for オンライン診療

first call for オンライン診療を提供するメドピア株式会社は医師12万人が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営していて医師の臨床やキャリアを支援をするサービスも展開している企業です。PCやスマホのどちらでも診療が可能であり、医師側にはメモ機能があり、チャット機能もあるサービスです。こちらも2020年の12月まで無料で提供されることになっています。

オンライン健康相談サービス事業

このオンライン健康相談サービス事業も急速に拡大してきています。このオンライン健康相談サービスの特徴は「病院には行くほどではないけど、ちょっと心配・不安だから診て欲しい、聞いて欲しい」などの要望に答えることができるところだと思います。

普段は仕事などですぐに病院に行くことができない人も多くいるため増悪するまで放っておいてしまった人たちを早くから病院に通院させることができるようになるかもしれません。

基本的には保険が使用可能なサービスではないので割高にはなりますが、「いつでも・どこでも・すぐに」という利点を考えれば値段を上回るメリットを感じる方もいるかもしれません。

健康相談ポケットドクター

日常の健康相談、心身の不調などを最大10分間オンラインで相談できるサービスです。1回の相談につき医師によって料金が異なるようですが、2,980円と3,980円(共に税別)となっています。オンライン診療ポケットドクターと同じ株式会社オプティムが提供するサービスです。

LEBER

LEBER(リーバー)は、24時間・365日スマホで医師に相談できる 「ドクターシェアリングプラットホーム」のサービスを展開しています。LEBER for Businessは法人向け行っているサービスです。これは管理画面から従業員の健康状態を一括で管理することができるため健康経営にも役立てることができると思われます。またこのLEVERは2020年9月30日まで無料で提供する試みを展開中のようです。しかしながらこのCOVID-19の影響により需要が高まっており相談できる医師が不足している状況になっているようで、オンライン相談できる医師を確保するためにAntaaと業務提携を行うなどをしているようです。

【詳しくは】医師同士の質問解決プラットフォームAntaaと医療相談アプリ「LEBER」が業務提携(m3記事)

LINEヘルスケア

スマホを持っている方なら必ずインストールしているであろうSNS界の最大手「LINE」が医師との健康相談サービス「LINEヘルスケア」を開始しています。「今すぐ相談する(2,000円/30分」「あとから回答をもらう(1,000円/質問文字数1000文字)」など相談方法にも選択肢があり、選ぶ方法によって値段が異なります。このLINEヘルスケアはCOVID-19により現在はサービスを無料で行っているようです。(終了日未定)

ポケットセラピスト

理学療法士なのでこれは絶対に紹介しておかないといけません。アプリ内で腰痛や肩こりの相談、体操の指導をオンライン、チャット形式などで受けることができるサービスです。ここには健康相談ポケットドクターとは違い、理学療法士が登録されています。

ダイエットプラス

管理栄養士による対面カウンセリングと毎食のアドバイスによってサポートをしてもらえるサービスです。「ダイエットプラスコール」ではオンラインで管理栄養士に相談をすることができます。30分で3,600円と少々料金は高いかもしれませんが個別で指導をしてもらえます。「グループワークダイエット」では複数名でグループワークを行いながら一緒にダイエットをしていくサービスです。管理栄養士がリーダーとなって個々人の目標を共有しながら行っていきます。コースの期間は2ヶ月間、月1回のグループカウンセリングとDietPlusアプリでの毎食アドバイスでしっかり取り組むプレミアムコース(45,000円)と、月2回のグループカウンセリングで気軽に通えるライトコース(20,000円)があります。

これからのヘルスケアの行方

病院などでのオンライン診療が始まり、オンライン健康相談と様々なサービスが出てきていてすでにこの分野においては競合他社が多くレッドオーシャンと言っても良いかもしれません。

これからこの様な業界に参入しようと考えている場合は、ビジネスモデルを少々考える必要があるかもしれません。もっと疾患を特化型のサービスとするか、はたまた対象を子供や妊婦などにするかなど検討する必要もあるかもしれません。

オンラインでいつでもどこでも医療従事者と繋がることができ、診察を受けることが出来ると病院の機能も少し変わってくるかもしれません。これまではしっかりと治るまでは病院で長期間入院をさせることが多かったですが、今は早期退院をどんどん進めています。これは医療費の問題などもある関係で非常にややこしいのですが。

この早期退院はしたけど「ちょっとまだ体調が完全ではないから、家で過ごすのことは不安」という方々のサポートをオンラインで継続して行うことが出来ると思います。また早期退院を望まれる患者さんには病院側も「オンラインがあるから少しが退院を早くしても大丈夫ですよ」と患者さんに対しても声がけが出来るようになるかもしれません。

またこういったサービスが増えていくことで自分自身の健康に対して投資(健康投資)をする人が増えていくでしょう。これまでは健康とはあって当たり前のような形で存在し、病気になってから初めてその尊さに気づくということがほとんどでした。今後はオンラインでいつでも・どこでも健康相談が出来る様になることで予防医療がより進む可能性があります。

一方で健康格差も生まれる可能性もあります。国民健康・栄養調査によると、朝食を欠食する人や野菜摂取量の少ない人、運動習慣のない人、習慣的に喫煙している人の割合は、どれも所得の低い世帯の方が高くなっているとされています。 所得が低い人の方が健康に対す る意識が低くなっています。「普段から健康に気をつけるよう意識しているか」 という質問に対して、年間の所得が200万円未満の層では「健康のために積極的にやっ ていることや特に注意を払っていることがある」や「健康のために生活習慣には気をつけ るようにしている」と答えた人が合わせて43.5%であったのに対し、1000万円以上の層では62.0%となり、かなりの差があることが分かります。

【参考資料】厚生労働白書

目の前の子供のための学費や食事にお金を回して自分のことは後回し、出来る限り安い食品をと日々の生活でやっとの方はいらっしゃいます。日々の生活の中で何千円もの額を自分の健康のために費やすことができないと考える人もいますので、これらオンライン診療やオンライン健康相談などのサービスを利用できる人とできない人とでは健康格差が生まれてくる可能性があると考えます。

さいごに

様々な形でサービスが展開されヘルスケア事業も大きく成長を遂げてきました。これによってたくさんの方々の健康意識が高まり、かからなくても良い病気になるような方が減ることを祈ります。

これらのサービスを自費で支払うにはまだ少々料金が高いと感じる方もいます。特に所得の低い人にとってはそうでしょう。それによってサービスを利用できる人と利用できない人の健康格差が生まれる可能性が高くなると思います。今あるヘルスケアビジネスが社会に何をもたらしていくのかメリット・デメリット双方の視点で考えていきたいと思います。

*今回紹介した企業・サービスにおいて開示すべきCOI関係にあるものはありません。

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