はじめに

2020年の8月号の総合リハに「血液腫瘍・造血幹細胞移植」というテーマで井上順一郎先生らの記事が掲載されていたので、今回はこちらの記事を簡単に紹介したいと思います。

【今回の記事で書いてあること】

  • 総合リハ2020年8月号「血液腫瘍・造血幹細胞移植」についてのレビュー
  • 血液腫瘍・造血幹細胞移植領域におけるリハビリのベストプラクティス

血液腫瘍・造血幹細胞移植のレビュー

今回の総合リハ2020年8月号に掲載されていた「血液腫瘍・造血幹細胞移植」というテーマの記事は、非常に参考になりました。

血液腫瘍・造血幹細胞移植患者のリハビリ治療のベストプラクティスについて簡潔に記載されていた総合リハ2020年8月号(井上順一郎ら)のレビュー記事です。運動療法やケモブレイン、がん患者の高齢化に対して理学療法士などのリハ専門職がどのように介入をしていけば良いかがんのリハビリテーションガイドラインを元に簡潔にまとめてある非常に分かりやすい記事でした。

ページ数は少ないためすぐに読むことができると思いますので、ぜひ手にとって読んで見てください。

血液腫瘍・造血幹細胞移植のリハビリベストプラクティス

運動療法の効果

これは間違いなく効果的であることは周知の事実ですね。がんのリハビリテーション診療ガイドライン第2版でもClinical Questionが設けれられています。

造血幹細胞移植(以下、HSCT)が行われた患者に対して、HSCT中・後にリハビリテーションを行うことは強く推奨(1A)されています。

実際、私も介入をすることが多くありますが、効果的であることを実感しています。ただしケースバイケース・・・なぜこれを感じるかについては次のことにも関係してきます。

造血幹細胞移植中・後における運動療法のエビデンスについては別記事でまとめていますので、こちらも合わせてどうぞ。

造血幹細胞移植中・後における運動療法のエビデンスは?

高齢血液腫瘍・HSCTへの対応

がん患者の高齢化は特に実感するところです。今回の記事でもこのことについて取り上げていて、臨床現場で感じる課題を非常に分かりやすく記載してあります。

がん患者の高齢化によってどのような課題が明らかになるか。それはがん治療に臨む前にすでにフレイル・ロコモ・サルコペニアなどを抱えている可能性があること、さらには呼吸器、循環器疾患、または生活習慣病などの併存疾患も若い人に比べて多く持っている可能性が高いということです。

これらの問題があることによって、がん治療に影響することが明らかになっているそうです。

がん治療開始前から存在するフレイルが化学療法・放射線療法の完遂率の低下、治療関連毒性の増大、術後合併症の増加、死亡率の上昇と関連があると報告され、高齢がん患者の治療法の選択やその経過・結果に及ぼす悪影響が明らかにされていると、この記事では先行研究の結果を参考に記載してあります。

なるほど・・・。これは肌感覚でずっと感じていたことでした・・・。どんな領域の患者さんでもそうですが、術前の身体能力はかなり影響します。

また化学療法、放射線治療、移植術などは特に体力を使う治療方法ですので、当然、治療前の身体機能の影響を受けるか・・・。

治療前からのフレイル・サルコペニアの評価は必要ですね。

これについては私も別記事でまとめてありますので、こちらも合わせてどうぞ。

造血幹細胞移植前の高齢者に対して高齢者総合機能評価(フレイル・サルコペニア)を行うべきか?

ケモブレインへの介入効果はあるか

これについてはまだ一定の見解が得られていません。私も臨床経験上は多少の影響はあるのかもしれないということは感じますが、HDSーRなどの机上検査上は特に問題はないことが多いです。

化学療法中から治療終了後に生じる高次脳機能障害についてをケモブレインと呼びます。

この原因は薬剤による神経新生や神経伝達物質の障害、脳血流量や脳脊髄液の変化、海馬の機能低下などがあげられています。またMRIで脳画像を撮影すると灰白質や白質の容積の低下が指摘されているため、やはり影響が全くないとは言い切れないようですね。

この点についてリハビリの介入の有無が良好な影響をもたらすかについても今回の記事では触れていますが、リハビリの介入による明確な介入効果は明らかになっていないようです。

そのためガイドラインのClinical Questionでも弱い推奨(2D)となっています。

ケモブレインについてはそこまで私も注目をしたことがなかったので、今回の記事を読んで改めて気づかされました。しっかりと患者さんをみよう。

最後に

今後、ますます高齢者が増えます。そしてそのことよってがん患者の高齢化が進行することになります。

まだがんのリハビリテーション料を診療報酬として算定できる施設は限られますが、今後はますますその需要は拡大していきそうです。

理学療法士だけでなく、作業療法士や看護師などのコメディカルもリハビリテーションの視点を大事にして、より良く治療が進むように、元の生活に戻れるようにするためのケアを行う必要があります。

参考文献

井上順一郎ら 血液腫瘍・造血幹細胞 総合リハビリテーション 第48巻 第8号2020年8月号

血液腫瘍・造血幹細胞移植のリハビリ治療のベストプラクティス」への2件のフィードバック

  1. 失礼なメールお許しください。私は脳幹出血に倒れて14年になります。以降、左半身麻痺と歩行困難に苦しんでおります。こんな14年も経つのだからいい加減に諦めろとお思いでしょうが、今一度自分の足で歩きたいのです。どうか助けてください、お願いいたします。追伸:どうすれば希望が持てるのですか。幹細胞治療はこんな私にも 効果はございますか、お聞かせください、お願いいたします。 

    1. コメントありがとうございます。

      大変な思いをされてきたのですね。同じような思いで苦労をされている方々と日々病院で接していますので、お気持ちは想像できます。

      14年前に脳幹出血になられたということでしたので、この場合はがんなどの治療に用いられる「幹細胞移植」などは残念ながら適応にはなりません。
      幹細胞移植術は白血病などの血液がんの方々に行う治療方法ですので、脳出血や脳梗塞をはじめとしたいわゆる脳血管疾患には適応とはならないのが一般的です。

      今後歩けるようになるかということについてですが、今どの程度の足の状態なのかがわからないため、はっきりと申し上げることができません。
      医学的には14年前からの麻痺については改善が難しいと言われている現状にあります。
      そのため、私などが勤務する病院などでは保険診療でリハビリを実施することは難しい現状にあります。(これはどの病院・クリニックでも同じです)

      ただし、今全国で少しずつですが自費診療(少々、値段は高め)でリハビリを受けることができるような施設が出てきています。
      そのような場所であれば保険診療による制限なくリハビリを受けることができるので、まだ可能性は見込めるかと思います。
      ネットなどで「脳梗塞 自費診療 リハビリ」のように検索をするといくつか出てくるので、そちらをご覧になられると良いです。
      病院で働く私たちも自宅退院後の患者さん、保険診療でしか対応することができない現状に悔しい思いをしています。
      そのためこのような自費診療ですがリハビリを受けることができる施設が増えてきていることは嬉しく思っている次第です。

      希望を見出すとすれば、そのような形でリハビリを継続して実施していくことでしょうか。

      いただきましたコメントのお答えになっているでしょうか。

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