はじめに

がんの患者さんに対する運動療法は効果的であるとされています。
しかしながらがんの患者さんの病態は特殊であるため、運動療法を実施していく際には注意が必要です。血小板数の減少が生じている時には出血リスクが高くなっていますので、運動負荷に注意をしなければなりません。
今回は血小板が減少しているがん患者の病棟での過ごし方、運動負荷設定について簡単に説明をしていきたいと思います。

がん患者の血小板減少と出血傾向に対するケア

血小板数と推奨される運動

血小板数(μl) 推奨される運動
15~45万 制限なし:普段通りの生活
5~15万

中強度〜高強度の運動・活動:

漸増抵抗運動、水泳、自転車

3~5万

低強度〜中強度の運動・活動:

関節可動域訓練、低負荷での筋力増強(0.5~1.0kg

程度の重錘、重くない抵抗、特速性)、歩行、水中運動など

2~3万 低強度の運動・活動:セルフケア、低負荷運動(自動・他動)、基本動作
<2万 最小限の運動・活動:必要最小限のADLのみ、医師許可のもと、歩行・セルフケア

がんのリハビリテーション中止基準によれば血小板5万μl以下で中止とあります。

しかしながら、過度の安静を継続させてしまうと筋力低下、筋萎縮、さらには全身持久力の低下が生じてしまう可能性があるため注意が必要です。

医師ともどの程度までの活動なら可能か確認を行いながらすすめていきましょう。

患者さんに対しても血小板の減少と運動負荷の設定について説明をして理解をしてもらう方が良いです。患者さんの中には積極的に自主訓練を行う方もいますので、時には運動内容の変更についての説明を行う方が良いでしょう。

血小板減少時の病棟での過ごし方

血小板数が減少しているから、また運動療法ができるような血小板数ではないから完全に安静にしておくべきかと言ったら、それも違います。

血小板数が減少しても基本的には必要最小限の活動は続けてもかまいません。

ただし、転倒には注意が必要です。血小板数の減少以外にも貧血によるめまい、ふらつきなどを認める患者さんの場合は特に注意しておく必要があります。

がん患者の赤血球減少と貧血

病棟内での少しの移動なら医師に確認した上で許可をすれば良いですし、リハビリスタッフにどの程度の運動なら良いか相談をすると良いでしょう。

許可はしても患者さんの出血の有無やバイタルの確認、転倒はしていないかなどの確認は必ずしておきましょう。

さいごに

血小板数の減少は化学療法を開始してから1~2週間後に出現することが多いです。
血小板数に応じて医療者が病棟での過ごし方、またリハビリテーションの運動負荷設定について考える必要があります。
血小板数の減少は出血リスクにもつながりますが、過度の安静により廃用症候群が生じる可能性も高くなります。そのため患者さん1人1人に合わせて内容を医師やリハビリスタッフと共に考える必要があります。

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参考文献

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