はじめに

2020年の診療報酬改定により外来栄養食事指導の実施方法が変わりました。「情報通信機器」を用いた指導においても指導料をとることが出来るようになりました。

この改定はどの様な内容だったのでしょうか。またこの改定がもたらす効果とはどのようのものがあるのでしょうか。

情報通信機器を用いた指導料180点

2020年の診療報酬改定では、栄養食事指導に「情報通信機器を使うこと」が指導料の評価対象となりました。これによって栄養食事の指導方法の選択肢が広がることになります。

外来栄養食事指導料(Ⅰ)

(1) 初回          260点

(2) 2回目以降

① 対面で行った場合       200点

② 情報通信機器を使用する場合 180

このように通信機器を使用して指導を行う場合も180点付けられることになりました。

算定用件は以下のようになっています。

ここで言う情報通信機器とは、電話や今進んできているオンライン診療などがこれに当たります。

YaDocというオンライン診療システムを活用した栄養指導の活用例に関しての記事が掲載されています。活用する具体的な方法として「YaDoc」にはメッセージ機能があるので、患者さんが記録した内容に対して週に1回コメントを送ったりするなどの対応もとっているようです。

これまでは医師のオンライン診療が認められ、徐々に広がりをみせていましたが、栄養指導についても今後は医療機関でオンライン診療が広がってくる可能性があります。

オンライン栄養指導がもたらすもの

継続した指導による離脱率の減少と健康増進

食事栄養指導は糖尿病、高血圧、脂質異常症など多くの領域の患者さんに対して行われます。

ICTを活用した栄養指導の効果についての報告があり資料(中医協)より抜粋しています。

報告では管理栄養士が情報通信機器を用いて、糖尿病の患者に対して遠隔栄養指導を行った結果、通常治療群と比較して介入群において有意に減量効果があったとしています。これは朗報です。

食事栄養指導は、最大の問題点は「治療の継続率と離脱率」です。

糖尿病受診中断対策マニュアル(国立国際医療研究センター糖尿病情報センター)では糖尿病患者の受診中断率は年間8%程度と推定されています。

受診中断経験者は「受診中断は男性で仕事を持っている人に多い傾向がある」「高齢者に比べ若年者(50歳未満、特に20〜30歳代)で受診中断が多い」「血糖コントロールの悪い人(HbA1c値が8%以上)またはかなり良い人にも多い」「過去に受診中断をした人の受診中断率は高い」などの特徴が多いと言われています。

その受診中断の理由として「治療の優先度の理解(忙しいからなど)」や疾患への認識(体調が良いからなど)の不足、また医療費が経済的に負担であることがあげられています。

こういった問題に対して通信機器を用いた栄養指導は効果をもたらす可能性があります。

勤労世代の糖尿病患者に対するオンライン診療の実証結果では、オンライン診療を受けた人の感想は「計画的な 治療予定を組めた(継続しやすかった)」「時間を効率的に使えた」において「とてもそう思う」が多かったとしています。

つまりこれまで忙しくてなかなか通院ができず治療の中断をしてしまっていた方たちが、オンライン診療により治療を継続して受けることができるようになる可能性が高いのです。

オンライン診療を始める際の初期投資が壁?

オンラインでの相談は予約などで行うことができるシステムがほとんどです。対面でビデオを通して行いますので、医療者もPCやタブレットなどの端末の前にいる必要があります。

オンラインを行うための整備をすることにもハードルがあるようです。同じく中医協の資料からは病院や診療所のオンラインに対する考え方として「オンライン診療に用いる機器やシステム導入・運用のコストが高い」「オンライン診療を行うメリットが手間やコストに見合わない」などのオンライン診療を始めること、導入の時点で困難さを感じている施設が約半数程度あることがわかっているようです。

またオンライン診療を行っている施設と、そうでない施設とに分けて見た場合、先ほどのコストや手間についてのネガティブな意見は両者とも役半数程度みられるとしています。

しかしながら「対面診療と比べ、オンライン診療では十分な診察を行うことができない」 「オンライン診療に適した状態の患者は少ない」「オンライン診療に用いる機器やシステムの操作が難しい」などのいずれの項目でもオンラインを行っている施設群では「そう思わない」が多い結果となりました。

つまり、オンライン診療を行うにあたってお金や手間などの初期投資は必要ですが、「使ってみれば思っていたよりも使えるシステム」だと感じている可能性があります。

おわりに

「通信機器を用いた」と聞くとすぐにPCやタブレットを使用するなどICTを思い浮かべるかもしれませんが、電話でも可能です。映像として半対面形式で行う方が相手の顔を見ることができ、より良いかもしれませんが導入には初期投資と言う大きな壁があることは確かかもしれません。

こうして医師や管理栄養士など多くの領域で新展開を見せるオンライン診療が広がることのメリットを十分に活かし患者さんの健康増進のために活用できる施設が増えると良いですね。

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