骨粗鬆症の治療には「食事」「運動」「薬剤」の3つが必要と言われています。どれも重要であり、どれか1つだけで完璧に治るというわけではありません。

今回はその中でも骨粗鬆症の運動療法のエビデンスについて「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015」に記載されてある内容をまとめています。

はじめに

骨粗鬆症に対する運動療法について「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015」では以下の項目場所で記載されています。ガイドラインの中でも多くの箇所に運動療法の効果について記載されていることが分かるかと思います。

1)骨粗鬆症の予防

  • 若年者における予防
  • 中高年者における予防
  • 転倒リスク評価と転倒予防
  • 骨粗鬆症検診

2)骨粗鬆症の治療

  • 骨粗鬆症の一般的な治療(薬物以外)
  • 運動指導

骨粗鬆症の運動療法エビデンスは?

エビデンスレベル、臨床上の適用性や有効性に関する作成委員会のコンセンサスに基づいて「推奨の強さの分類」にしたがって推奨グレードを決定しています。

その推奨グレードは以下のようになりますが、骨粗鬆症に対する運動療法の推奨グレードはB(行うよう勧められる)になります。

つまり、骨粗鬆症の運動療法は効果的であるということです。

  1. 行うよう強く勧められる
  2. 行うよう勧められる
  3. 行うよう勧められるだけの根拠が明確でない
  4. 行わないよう勧められる

運動指導は骨粗鬆症の予防に有効?

身体活動の活発な方は骨粗鬆症による骨折が少ないという大規模研究は多くあります。また大規模研究を集めたメタアナリシスもそれを支持しているようです。ただし、骨折をアウトカムとしたRCT研究はないようです。

運動を行うことで骨折が増加するという報告もないようです。

これらの報告が少ない理由は、運動療法には実施に時間と労力を要するため、対象症例数に制限があり、対照群と比較して骨折予防効果を証明する十分なイベント数が確保できないためであるとされています。

1)若年者における予防効果

運動習慣や身体活動が骨密度に影響を及ぼすことが明らかにされているようです。どうやら過去の運動習慣も関係しているようであり、中学や高校などの学生時代のクラブ活動も含まれています。

一体どれだけの運動を行うと良いのかという議論が良く出ますが、「強度」「時間」「頻度」の中で「時間」の要素が骨密度に影響を及ぼしていたようです。

若年者の骨粗鬆症に対する運動療法のエビデンスをまとめると、以下のようになります。

「栄養が充足している場合、少なくとも18才以前に強度のある運動を行うことが、骨粗鬆症の発症予防に最も効果的である」

エビデンスレベル:グレードB(行うよう勧められる)

2)中高年者における予防

この年代になると閉経が1つのキーになってきます。これは女性ホルモンが骨粗鬆症と関係が深いためです。閉経後に骨粗鬆症リスクが高まります。

閉経後女性を対象としたメタアナリシスでは歩行や太極拳などの軽い動的荷重運動は腰椎の骨密度を有意に上昇させるとされています。

その他、ジョギング、ダンス、ジャンプなどの強い動的荷重運動は大腿骨近位部骨密度を上昇させるとしています。さらにこれらの組み合わせでは両部位の骨密度が増加するとしています。

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015」では

中高年者の骨粗鬆症予防のための運動療法を以下のようにまとめています。

運動専門家が管理する複数の種類を組み合わせた運動は骨密度を上昇させ、自己管理による歩行運動も有効である。一般的中高年者には、歩行を中心とした運動の日常的実施を推奨する

エビデンスレベル:グレードB(行うよう勧められる)

運動療法は骨粗鬆症による骨折の軽減に有効?

運動療法による転倒予防効果のエビデンス

運動療法の転倒予防効果は最近のシステマティックレビューによりエビデンスが蓄積さてきています。

Choiらは調査期間を5ヶ月以上行った17個のRCTに関するメタ感度分析によって、全体でのリスク比は9%の減少であったが、多角的な介入研究では10%減、さらに介入期間限定の介入研究においては12%減となったことを報告しています。

運動療法によって転倒予防効果はあると言って良いでしょう。

転倒予防効果と骨粗鬆症の骨折予防についてのエビデンス

骨粗鬆症患者にとって最も恐ろしいことは、骨折をすることです。運動療法は転倒予防効果があることは明らかです。では、実際に転倒予防は骨折予防となっているのでしょうか。

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015」では、転倒予防がその最大目的ある骨折予防、特に大腿骨近位部骨折の予防に有効か否かについては、明らかな科学的根拠に乏しいとしています。

運動療法の転倒予防効果によって転倒発生率を低下させることはできていますが、それが骨折予防に対しても有効とした研究は少ないとされています。

なぜ、それを明らかにすることができていないのか?

それは、「転倒・大腿骨近位部骨折ハイリスク高齢者」を適切に選択していないことが最大の原因だそうです。

骨粗鬆症に対する運動療法は骨密度の上昇や、転倒予防としてのエビデンスは蓄積されていますが、それが骨折予防にまで繋がっているかはエビデンスとしては十分ではないのです。

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015」p81より

運動療法の主なエビデンス

おわりに

  • 今回は骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインに記載されてある骨粗鬆症の運動療法のエビデンスについて触れた。
  • 骨粗鬆症の運動療法はエビデンスがあり、予防や治療に対して効果的であるということが言える。

【参考/引用文献・資料】

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