今回の記事はCLINICAL REHABILITATION 2020 Vol.29 No.10を参考に書いています。

はじめに

皆さんは患者さんのリハビリテーションに対する考え方、取り組み方で悩むことはないでしょうか。

リハビリテーションが必要なのは何も入院中だけではないですよね。退院をしてから自分が望むことができるようになるためにストレッチや筋力増強訓練などの運動療法、動作練習などを継続して実施する必要があります。しかしながらその理解が十分に得られず「なかなかうまくいかない」と感じることも多いのではないでしょうか。

今回はCLINICAL REHABILITATION 2020 Vol.29 No.10の連載記事「こういう工夫でこんなに変わった!アドヒアランスとコンコーダンスを高めるリハビリテーション 乳がん術後」に書かれてある内容を参考にしながら「どうすれば患者さんの理解度をあげることができるか」について考えていきたいと思います。

先輩、どうしたら患者さんに自主訓練を継続してもらえるかに悩んでいます・・・どうしたら良いですか?

なるほどね。臨床リハの9月号に掲載されてあったSDM(Shared decision making)について触れてある記事を読んだい?そこにヒントがあるよ。

え・・・読んでいませんでした。読みます!

アドヒアランスやコンコーダンスを高めるリハビリ

臨床リハの9月号では「こういう工夫でこんなに変わった!アドヒアランスとコンコーダンスを高めるリハビリテーション 乳がん術後」というタイトルで連載があります。

記事の中では乳がん術後のリハビリの関わりについて、リハの実施内容や患者へのパンフレットによる指導の内容、自宅退院後のフォローアップについてふれられています。

乳がん術後の患者さんは上肢の機能障害が生じることが多いため、関節可動域訓練、筋力増強訓練、リンパ浮腫への対応などを行います。

しかしながら入院期間は短いことも多くあるため自宅退院後のセルフケアの重要性が言われているようです。特に乳がんの患者さんは他の患者さんと比較して若年者であること、また早期発見早期治療によって予後が良好であり、10年相対生存率が約80%とかなり高いことが示されています。

そのため乳がん術後の患者さんのその後のセルフケアが出来ているかどうかということが患者さん本人のADLやQOLを左右するため、医療者もしっかりと説明し理解をしていただく必要があるのです。

そこで知っておきたい知識の1つにSDM(Shared decision making)の考え方があります。

SDM(Shared decision making)て・・・?

SDM(Shared decision making)とは

患者さんと医療者が情報共有して、話し合いながらより好ましい医療について合意を得ていくプロセスのことです。

ちょっと、コンコーダンスに似ている部分もあります。

このSDMの基本的な考え方は以下のようになります。

例えば術前から理学療法士が介入し、手術やその他の治療によって生じる可能性のある障害についてしっかりと説明を行うこと。そしてその生じる可能性のある障害に対して患者も共通の認識を持っていることが大切です。

何か始めるにしても、納得が得られていないとだめだよね。

その共通の認識があるから理学療法士と患者が同じ方向に向かってリハビリテーションによる治療計画を一緒に立てることができるのです。

この時にもう1つ知っておくべきこととして「エンパワメント」という言葉があります。詳しくは国立研究開発法人 国立精神・神経医療センター精神保健研究所のHPを見てください。

エンパワメントとは「人々が他者とのかかわりを通して、自分にとって最適な状況を主体的に選びとり、主体的な価値を獲得するプロセス」であるとされています。

今の医療現場では医療従事者から患者さん対して「これをやりましょう」といったような一方的な方向で行われるのではなく、患者のエンパワメントを高めるためにSDMの考え方が広く活用されるようになってきているのです。

そもそも論で言えばリハビリテーションとは医療従事者から一方的に与えられるものではなくて「患者自ら自分の人生と向き合って変わっていくプロセス」であったと思います。

ですのでSDMの概念を難しく考える必要はありません。私たちの仕事の本来あるべき姿がどんなものであったかという原点に立ち返れば良いのです。

ただ最近のSDM関連の文献・書籍は結構面白いものがたくさんありますので個人的には理学療法士をはじめとしたリハビリテーション専門職の方々には勉強を進めて欲しい分野でもあります。

新しいことは続けられないのが人間

「よし、これは自分のためになることだ。先生と一緒に頑張るよ!」となったとしても、続かないことがほとんどです。

何事も継続が大切なのですが、新しいことは継続が難しいです。皆さんも経験があるのではないですか?

「ダイエットしよう」「筋トレ頑張ろう」「英語論文を必ず読もう」「ブログ書こう」などなど目標を立てた後にしっかりと継続が出来たことがありますか?それも何年も。

人間の脳は余分なエネルギーをさかないようにするために思考や行動を習慣化させることが得意です。だから余分なエネルギーを使う新しい習慣は脳が嫌うのでなかなか身につきません。

そのため、SDMが行われた後もフォローがある程度必要になるのです。特に自宅退院後は医療従事者との接点が非常に少なくなるためドロップアウトの危険性が高まります。

私も糖尿病患者さんでフォローアップを続けた経験がありますが、なかなか行動が続かず苦労しました・・・。

外来でフォローをすることで患者さんが目標に掲げた自主管理を行うことが出来ているか確認する必要性があります。そしてそこで新たな問題点や修正すべき点などがあれば再度一緒になってSDMの考えに沿って行動していくのです。

そうすることでより良き方向へと進むことができるようになります。

どうだったかな?明日からの臨床で活かせそうかな?

そうですね・・・患者さんとしっかりコミュニケーションをとって一緒になって考えていくことが大事だということが分かりましたが上手く出来るか分かりません。

そうだね、患者さんによってもタイプが異なるからコミュニケーション力も必要だね。少しずつ練習だ。

さいごに

普段の臨床の中で患者さんと時間をとって話すことはなかなか難しいことも多いと思います。

全員に対して行う必要はありません。普段の臨床の中でも経験があると思いますが、「この人は勝手に良くなる人」といった患者さんに対して積極的に行う必要性はないと思っています。

例えば運動療法を行うことに対して拒否のある方、運動療法への理解、自主訓練の必要性への理解が十分ではない人に対してしっかりと時間をとり行えば良いと考えています。

自分で考え、行動を起こすことが出来るようになった患者さんは強いです。患者さんから積極的に質問をしてくれるようになります。

またこのSDMの考え方は実習生を担当する時にも使えるなと個人的に感じています。実習に来た目的やどうすれば自分の成長につながるかなど共に考えていくことが出来ると思います。ですので実習生を担当することのある方はぜひ活用してみてください。

【YouTubeチャンネル:リハビリ・ラボ】

このチャンネルでは主にリハ専門職の方々に有益となるような情報を少しずつ配信をしています。チャンネル登録を宜しくお願いします。

https://www.youtube.com/channel/UCHYNawWdiaTG4lHfix93meA

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA