はじめに

【この記事の主な対象者】

セミナーや学会運営をしている医療者の中で、他の研修会との差別化をはかり、セミナーの集客を考えたいという人

「研修会を開催しているけど人がこない」「学会の講演にどうすればもっと人が来てもらえるだろうか」と悩む医療者に必要なマーケティングの知識を学ぶための記事です。今回は自分たちが運営しているセミナーや学会の強みや方向性を考えるために必要なポジショニングマップの作成の仕方についてまとめています。ポジショニングマップを作成していくことで「もっとこうすれば良いのか」といったような運営方法を見直すきっかけになるかもしれません。

セミナー/学会運営を成功させるために

セミナーや学会の運営を成功させるために考えるべきことが3つあります。

「そのセミナーに来ることで得られるベネフィットとは何か?」

「そのベネフィットが得られる人と思うターゲットの設定は適切か?」

「他のセミナーと比較しても自分たちのセミナーは参加する価値はあるか?」

誰もが普段の仕事が家庭、子育てなどで忙しく生活をしています。そんな忙しい中で貴重な時間をさいてセミナーや学会に参加したいと思わせるようにするためには工夫がいります。みんなそんなに暇じゃない。そこに強いメリット、ベネフィットがないと行かなくて当然ですよね・・・。

ですから先ほどの3点について、もしあまり検討したことがなかったなという人は今回、一緒にポジショニングマップを作成しながら自分たちが運営するセミナーや学会はどのような物で、どんな価値をターゲットとする人たちに提供することができるのか考えてみましょう。

そうすることで集客ができるセミナーや学会に一歩近くことができます。

他の研修会と差別化はできているか?

たくさんのセミナーがある中で、他のセミナーと同じようなことをやっていては人は集まりません。

そこで考えるべきは「他の研修会と差別化はできているか?」ということです。

アメリカの経営学者であるマイケル・E・ポーターはライバルに対して持続可能競争優位を築くための3つの方法として、「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」を設けています。

「差別化戦略」とは自社の商品やサービスを他とは違う特別なものと認識をしてもらうことで競争優位の地位を築くための戦略のことを言います。

この差別化を決める要因はたくさんあるため、他の研修会がどのようなスタンスで実施をしているのかリサーチを行いながら差別化を考えていく必要があります。

例えば「座学中心」「実技中心」「スポーツなど領域特化型」などおおまかに分けていきながらリサーチをすると良いでしょう。

そしてこの差別化戦略の重要なポイントとして、「差別化による価値が上がっていることをターゲットが認知している」かどうかです。例えば機能や質が同じなのに値段が異なる商品があった時、高い方の商品にターゲットは何の価値も感じません。「値段は高いけど、機能や質が他の物と比べてもかなり良い」というこの差別化の意味をしっかりとターゲット認知していることが本当の意味で差別化ができた、成功したということなります。

この差別化の戦略を成功させるために、どのようにして考えていけば良いか分かりやすいのが次から説明をする「ポジショニングマップ」になります。

自分たちがセミナーや学会を通して「成し遂げたいこと」などのビジョンが明確であり、そのための行動指針やポジショニングマップ、KPIの設定が十分にできているチームはブレることなく、最速最短でそこへ到着することができるとされています。

なので、まずはポジショニングマップを作成してみましょう。

ポジショニングマップとは

ポジショニングマップとは、競合との差別化を図り、競争優位性のある独自ポジションを導き出す際に使用される手法のことです。

自分たちをこれから売り込んでいくときに「ライバルはいるのだろうか?」「この分野で自分は他と比べて優位に立てるだろうか?」という市場の中でのポジションを確認することができます。

ポジショニングマップでは、市場における自分たちの商品やサービスのポジションを、縦軸と横軸で設定していきます。

私はビールはあまり飲みませんので、この辺りのことがピンときませんが何となくは分かります。

CMを見ると分かりやすいですよね。自社の売りが違うのでターゲットとする人が違ってきます。

CMの出演者や構成のタイプが異なりますよね。例えばスーパードライなんかでいうと若くて綺麗な流行りの女優さんは出演していません。どちらかと言うと中年でカッコ良い俳優さんや歌手(福山雅治さんが出演していますよね)たちが、カッコよく「あーーーっ!」って言いながら気持ち良さそうにビールを飲む構成になっています。このCMを見て、多分若い女性はスーパードライを買わないでしょう。でもそれで良いのです。スーパードライのターゲットは「キレ」などが好きな働き世代の男性にしているから。

自分たちが提供したい商品やサービス、私たち医療者で言えばセミナーをこのような2軸で分けて考え、「売り」というものを設定していく作業をしていきます。

ポジショニングマップの作り方

作り方

  • ポジショニングマップの2つの軸を選ぶ
  • 選んだ2つの軸を縦軸、横軸として、自分たちと競合の立ち位置をプロットしていく

大きく分けてこの2つの方法でポジショニングマップを作ることができます。

ポジショニングマップは、どのような軸を選定するかによりまったく異なります。ここが一番難しいです・・・私もまだ学会Ver.十分に落とし込めていないです。

2つの軸に何を置くかが最も大事です。この軸を考える時に考慮すべきことにKBF(購買決定要因:key Buying Factor)があります。

KBFは顧客が商品を購入するときに重要視する理由のようなものです。誰もが商品を買うときに何かしらの理由をつけて購入しているはずですよね。「なんとなく」と言う場合も多くありますが、これも意識していないように見えて普段TVCMなどで見ている情報を元に無意識で選択していることがほとんど。このあたりも詳しく話をしていきたいところですが、今はやめておきましょう(笑)

顧客は「この商品は◯◯に便利そうだから買ってみよう」と重視するニーズに基づいて購入をしますが、この製品を購入する際に重要視する要因を指します。

KBFが含まれない要素を軸に選んでしまうと正確なポジショニングマップを作ることができません。このKBFをまずは見極めることが大切です。

そしてこのKBFはターゲッティングやポジショニングなどを分析するSTP分析をと一緒に考えていくと良いです。なぜならKBFは人によって異なりますので、ターゲッティングと合わせて行う必要があるためです。

商品の仕様や機能についての軸

商品の仕様や機能をそのまま使用することがまずは考えやすいです。

仕様や機能とは、たとえばパソコンであれば処理速度やHD容量の大きさ、自動車であれば最高速度や乗車定員、燃費などになります。

商品の仕様や機能は、どうしても専門的になりがちです。

私の場合、パソコンを選ぶ際の基準にそのパソコンの処理速度などのスペックは気にしません。そこまで専門的な仕事をパソコンではしないから。

私はMacbook Airを使っていますが、Macbook Airを選んだ理由はその機能性よりも「なんかおしゃれ」というだけです(笑)。

だからMacの専門性を全く活用できていない・・・。でも専門的にパソコンを使用する人たちはMacbook Airの機能性などは重要視するでしょう。

したがって専門知識を持っている顧客をターゲットとするケースにおいて、これらを軸とすることが向いています。

ただ医療者のセミナーでのターゲットは専門家ばかりなので、この点についてはとことん詰めていけそうです。

ターゲットが感じる価値の軸

先ほどの商品の機能性などとは違い、商品やサービスがターゲットを満たすニーズ、ベネフィットについて考えます。

ニーズやベネフィットは機能性などに比べればやや感覚的で一般的な表現となりますがこれが結構重要だと思います。

セミナーなどではどうでしょうか?セミナーや学会に参加することでターゲットが感じる勝ちって何でしょうか・・・?

ターゲットの心をつかむためには「ターゲットの期待を満たすこと、さらには期待を上回る体験を提供すること」が重要です。これを顧客満足(CS)と言い、セオドア・レビットという方が提唱した考え方です。

このターゲットの満足度が形成される仕組みを「期待不確認モデル」と言います。これはある方程式で表すことが可能です。

ターゲットが満足する時とは、ターゲットが実際にセミナー/学会に参加して感じた価値が事前に感じていた期待値を上回った時です。

そのためセミナー/学会への参加者を増やす、リピーターを増やしたいと考えているときは「このターゲットが感じる価値」をどのように設定するかが大きなポイントになります。

セミナーと似た形として「塾」を例にあげてみましょう。

塾と一口にいってもいろいろです。集団で授業を受けるシステムのものもあれば、1人1人個別授業のもの、ビデオ視聴・オンライン授業のものなど。

ただ授業を受けるだけではあまり価値がありません。

例えばビデオ視聴を売りにしている塾の場合、「何度でも見ることができる」ということをこの塾の「売り」であると設定すれば、ターゲットが感じる価値が高まりそうですよね。

そしてこの体験価値に加えて、いざビデオ視聴を始めてみると何回でも見ることができる、ノートをとるためにビデオを一時停止できる、講師に対して質問メッセージを送ると返信がかえってくるなど、授業を受ける以外の付加価値があると、ターゲットが感じた価値は事前期待値を上回ることができるため、満足度が高くなります。

このターゲットに感じてほしい付加価値について考えていくと良いです。

競合セミナーとの軸

競合セミナーの特性やメリット・デメリットに基づく軸のことです。自分たちのセミナー/学会は何をするのか、競合セミナーは何をするのかとそのポジションが明確になります。

例えば「座学中心」「実技中心」「スポーツなど領域特化型」「新人向け」「ベテラン向け」など。

企業などであれば「高品質なのに低価格」などのように競合と差別化したい時に考えるようです。

関連性の高い要素をおかないこと

軸を考える際に注意が必要なことが1つあります。

「関連性の高い軸をおかない」ということです。例えば「価格」と「品質」という軸を選んだとします。でも価格と品質は多くの場合に比例することがほんとです。ポジショニングマップを作る際には、できる限り独立した2軸の選択が重要です。

ポジショニングマップ成功の鍵

軸の設定には悩むことが多いですが、このポジショニングマップの作成が成功すればそこから得られる価値は大きいものです。

これまで紹介してきた軸の考え方を大事にしながら考えましょう。ポジショニングマップを成功させるための条件は以下のようになります。

成功の鍵

  • ポジショニングのターゲティングがきちんとできていること
  • こちらが考えるポジショニングが、ターゲットに正確に伝わること
  • こちらの考えるポジショニングに、ターゲットが共感すること

こちらで考えたポジショニングが正確にターゲットに伝わっていないと作成した全く意味をなしません。他とどのように違い、そのセミナー/学会に参加することで得られるベネフィットが分からなければ参加をしてくれないのです。

「あ、ここのセミナーは他と違って、私の◯◯の悩みを解決してくれそうだ。それでいて安いし、セミナーの雰囲気も良さそう」

この「他と違って」というポジショニングを理解・共感してもらう必要があります。そして付加価値も設定し、ターゲットの事前期待値を上回るようにしておくとリピーターとしてまた来てくれるようになります。

さいごに

忘れてはいけないことは、ポジショニングマップを作成する目的は、「競合と差別化でき、競争優位性のある独自なポジションを探す」ことにあります。セミナーを運営する時に「他のセミナーと比べて自分たちのセミナーの存在意義とは何か?」を考えるようにポジショニングマップを作成するとおのずと自分たちのやるべきことが見えてきます。他の研修会と比べて魅力ある研修会になることでしょう。そして参加する価値があるということをターゲットとする人たちにしっかりと情報を届ける努力も必要です。

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