はじめに

リハビリテーションで多くの場面で使用される電気刺激療法の種類と治療目的についてごく簡単にまとめています。今回は特に使用されることが多い治療的電気刺激(TES)に該当するTENS、NMESについて記載をしています。

TENSの目的

TENSは主に疼痛のコントロールを目的に実施される電気刺激療法です。

TENSによる疼痛コントロール作用は以下に3つによって説明されます。

  • ゲートコントロール理論
  • 下降性疼痛抑制系
  • 下降性疼痛抑制系

ゲートコントロール理論

ゲートコントロール理論とは疼痛と関係しない太い神経線維を刺激することで、細い神経線維によって伝達される疼痛などの侵害刺激の上行ニューロンの伝導が減少することや、感情や認知などの中枢からの下行ニューロンによる影響を利用した理論のことです。

下降性疼痛抑制系

低周波、高周波ともに神経伝達物質を介して脊髄後角にニューロンの活動を抑制します。それによって痛覚過敏の減少が生じるとされています。

内因性オピオイド

TENSの周波数に応じて、脳脊髄液内への内因性オピオイド放出による鎮痛作用があります。

低周波(1~4Hz)ではベータエンドルフィンやエンケファリンが放出され、高周波(40~200Hz)ではダイノルフィンの脳脊髄液内の濃度が上昇するとされています。またこれらを単独で行うのではなく、同時に行う方法や高周波と低周波とを変調させて行うことでより効果的であるとも報告されています。

TENSの治療適応

臨床研究では、急性痛の方が慢性痛と比べて鎮痛効果が高いという報告が多いようです。

【治療適応】

  • 整形外科術後
  • 整形外科疾患
  • 腹部・胸部外科術後
  • 神経障害性疼痛
  • がん性疼痛
  • 幻肢痛
  • 生理痛

TENSの治療適応はこれらのように多くありますが、まだ鎮痛メカニズムや実施方法について明確になっているものは少ないため1つ1つ慎重に吟味する必要がありそうです。

NMESの目的

NMESは神経筋に電気刺激を加え、他動的に筋収縮を誘発するものです。以下がNMESの主な目的になります。

【治療目的】

  • 筋力増強や筋萎縮の予防
  • 神経筋再教育
  • 痙縮抑制

筋力増強の治療目的

【治療適応】

  • 手術の侵襲、ギプス固定による廃用
  • サルコペニア
  • カヘキシア
  • ICU-AW
  • 摂食・嚥下障害/嚥下筋

NMESが筋力増強に作用する要因は、筋再生に関わるサテライト細胞の増殖を促すからです。これによって筋線維の増殖を刺激します。

その他にもNMESによって筋タンパク質の合成系に関与するインスリン成長因子(IGF-1)を増加させる作用もあります。反対に筋タンパク質分解系に関与するユビキチンープロテアソーム系の活動を抑制する働きもあるため、結果として筋力増強に働くことになります。

神経再教育の治療目的

NMESの神経再教育には主に脳卒中などの中枢神経障害後に対して治療適応となります。

NMESは神経・筋の運動制御を改善させるために使用します。NMESの電気刺激は上下行性に伝導し、末梢神経に伝導した場合には筋収縮を、上行性に伝導した刺激は感覚野を通り、運動野の興奮を変調させる作用があります。

痙縮に対する治療目的

痙縮は脳卒中脊髄損傷、多発性硬化症、脳性麻痺などで生じることが多いです。

痙縮に対するNMESの治療効果は2つあります。

1つ目は拮抗筋へNMESを行うことによって痙縮が改善しますが、これは相反抑制を利用したものです。

もう1つは痙縮筋へNMESを行う方法ですが、これによっても痙縮は改善します。これは半回抑制によるだとされています。半回抑制とは運動神経からの側副枝の入力がレンショウ細胞を介して、自らの運動ニューロンを抑制する回路のことを言います。

どちらを優先して行うべきかについてはまだはっきりとしたことが分かっていません。

NMESの治療適応

中枢性運動麻痺に対しては神経筋電気刺激(NMES)以外にも、機能的電気刺激(FES)や筋電図誘発型電気刺激(ETMS)、随意介助型電気刺激(IVES)などが用いられます。

以下の図は中枢性運動麻痺に対する電気刺激療法の戦略を記載してあります。

運動麻痺の重症度に応じて、治療目的に応じて、適切なモダリティーを選択すると良いとされています。

さいごに

ごくごく簡単にではありますが、電気刺激療法(TENSとNMES)の緒両目的についてまとめさせていただきました。電気刺激療法についての論文は多くありますが、まだ十分ではないものもあります。エビデンスはどのようになっているか?と調べながらも臨床で実践をしていきましょう。

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