はじめに

【この記事の目次】

  • 緩和ケアでのVR技術の活用方法とは
  • やりたいことリストの実現に向けて
  • VR体験の新しい付加価値 苦痛の軽減

病院では頭にゴーグルのような物をつけて映像をみるVRを使用しているところは少ないでしょうが、今特に緩和ケア領域でVRを活用した取り組みが注目されています。

VRを活用することで病院にいながらも「長年住んだ自宅」「パートナーのお墓」「行きたかったけど行けなかった旅行先」に行くこと(擬似体験)ができるようになります。

これまではそうした思いが患者さんにあっても医療者はどうすることもできないことが多かったのですが、VR技術を活用すればそうした願いを叶えてあげることができるかもしれません。

緩和ケアでのVR技術の活用方法とは

実際に体験したことがある人もいるでしょうが、VR技術を活用するにはそれ専用の機器が必要になります。

このVR技術をどのように緩和ケアで活用するのかと疑問に感じると思います。

実際の活用事例としてはこれまでに以下のようなものがあるそうです。

  • 住みなれた自宅に帰る(事例1)
  • 行ってみたかった旅行先の景色を味わう(事例2)

【事例1】

自宅の様子をVRで見るために家族に360度カメラを手渡して撮影をしてもらいます。実際に利用した家族は「本人目線で歩いているように撮影した。パパがいつも座っていたソファに座り、ゴルフチャンネルを合わせた。13年間乗った車の運転席では、運転気分を味わえるよう工夫した」ようです。

医療従事者なら患者さんの「家の様子を見たい/帰りたい」という願いをなかなか実現させることができない「あるある」の悩みを擬似体験という形ですがVRによって解決ができるようになります。

【事例2】

海外での事例ですが、Googleの「Earth VR」も使いながらクルーズ船の寄港地全てをマップ上に指定することで大海原や滝、氷穴などを画面上で見ることができるようにしました。

またこの事例では「子供の頃に住んでいた家の今の様子」や「働いていたボートが係留してある船着場」なども見せることができたようです。

やりたいことリストの実現に向けて

誰しもが死ぬまでにやりたいこと、行ってみたい場所などはあるでしょう。でも普段、仕事や子育てで忙しく生活をしているせいで、実現できたことはごくわずか・・・という人は多いです。

そうしている内に重大な病気にかかってしまい、リストの実現からは程遠い状態になってしまう。

私はがんの患者さんを担当させていただくことが非常に多いのですが、本当にこのような方が多いです。

医療者は患者さんの希望に少しでも力になれるように力を尽くしますが、実際には体調のことや家族の負担などのことを考えて断念をせざるを得ないことが多いです。

このVR技術はこの誰もが心のうちに持っている「死ぬまでにやりたいことリスト」の実現の手助けをしてくれるのかもしれません。

VR体験の新しい付加価値 苦痛の軽減

医療現場では痛みやその他の身体的・精神的苦痛を医療用麻薬などを使って和らげようとすることがほとんどです。

これを使用することで実際に患者の苦痛は軽減しますが、それと同時に副作用としてボーッとしてしまったりすることも少なくありません。

VRで自分の慣れ親しんだ景色をみたり、行きたいと願っていた場所の景色を見ることで内因性オピオイドと言って自分の体の中で作られる苦痛を和らげる物質が出ることが明らかとなってきています。

つまり医療用麻薬などを使わずとも、VRによって身体の苦痛を和らげることが出来るかもしれないのです。しかも副作用はありません。

VRの他にも最近では「テレイグジスタンス」という技術開発が進めれています。「TELE=遠隔」と「EXISTENCE=存在」を組み合わせた概念のことですが、これは遠く離れた場所にいるロボットをアバター(分身)として利用し、まるで自分がそこにいるような感覚・体験が得られる技術のことです。

このテレイグジスタンスの技術がもっと進めば病院にいる患者さわの遠隔でロボットを動かすことでVRよりもよりリアルな旅行体験ができるようになるのかもしれません。

このテレイグジスタンスについてはTelexistence株式会社のHPを見てみてください。

さいごに

これからはさらにVR技術を有効に活用することで、これまで実現が難しかった患者さんの「○○をしたい」を少しでもかなえることが出来るのかもしれません。そして最期の最期までこれまで生きてきた「その人らしさ」を叶えてあげられるのかもしれません。

人はたくさんの人との出会いと、思い出によって支えられ生きているのですから。

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