はじめに

脳腫瘍の患者さんの病態は非常に様々です。その上、脳卒中や頭部外傷とは異なり、放射線治療や抗がん剤などの副作用、さらには生命予後も検討しながら介入する必要があるため特殊になります。

機能改善に向けた介入は基本的には脳卒中や頭部外傷などのアプローチに準じて行われますので、それらのアプローチ方法はここでは紹介しません。

ここで紹介をしたいのは、先ほども述べた脳腫瘍の患者さんの特殊性を考慮した「予防期」「回復期」「維持期」「緩和期」4つの時期の介入方法について紹介をしていきます。

今回の記事のポイントはこの図で完結していますので、早い話この図だけ見れば大丈夫です笑)

ちなみに今回の記事はYouTubeチャンネル「リハビリ・ラボ」でも動画で紹介していますので、こちらからも勉強することができます。

予防期のリハ

【ポイント】

  • 術前の身体機能・高次脳機能の評価と廃用予防

脳腫瘍の患者さんのほとんどが手術を施行されます。その術前からリハビリテーションが始まることが多いです。

私のこれまでの経験では手術の1~2週間前に介入することが多かったでしょうか。Drからも術前の身体機能・高次脳機能の評価を求めてくるも多いです。

そのため術前に行うべきこととしては身体機能、高次脳機能のなどの評価が大事です。これは術前後で比較するためです。

歩行が可能な状態であれば10m歩行試験TUG、SPPB片脚立位バランス、運動・感覚障害など脳卒中や頭部外傷の患者さんと同様のイメージで行うと良いです。術前に評価を行い、術後のアプローチを考える材料とします。

その他の目的として可能な限りの筋力、体力の維持・改善です。

術前ではまだ症状が残存しているため頭蓋内圧更新症状による嘔吐など注意が必要です。その他、認知機能の障害、視空間認知障害などが出現している患者さんであれば転倒にも注意が必要になります。

患者さんの転倒リスクを評価し、病棟と転倒予防のための環境調整を行うことも必要になります。

予防的、つまり術前から介入する時は、しっかりと患者さんの病態を評価しておくことが大切だね!

回復期のリハ

【ポイント】

  • 術後の後療法による副作用に注意して介入
  • 身体機能に合わせ装具療法や環境調整を行う
  • 生命予後が良好であるか、不良であるかに応じてスピード感を持って対応する

先ほどの予防期の介入から術後の回復期へと介入を継続的に行うことがほとんどです。

術後の場合、放射線治療や化学療法を後療法として行うことが多く、この時期のリハビリテーションの介入にはそれらによる副作用に注意して関わる必要があります。

例えば放射線治療開始後、2週間以内に生じるものを急性期障害といい、食欲不審や倦怠感、皮膚障害、口腔咽頭粘膜の障害、消化管の障害などが出現するため、これらの症状には注意して介入しなければなりません。

手術による腫瘍切除範囲がどれだけであるかによっても術後の機能障害の程度が異なってきます。広範囲に切除をした場合、回復はかなり難しくなってくるので装具利き手交換環境調整が早期から必要となります。

予後が良好な場合であれば、復学就労も可能であることも多いため、そうした支援も必要になります。予後が予測できるのであれば予防的な時期からこれらの情報収集をしながら介入すると良いです。

可能な限り患者さんの希望にそった形で実現できるようにすることは他の疾患と大きく変わりません。

維持期のリハ

【ポイント】

  • 可能な限りの廃用予防
  • 装具や福祉用具を活用したADL、QOLの維持
  • 予後不良の場合は早期に希望が実現できるようにする

この時期は術後の放射線や化学療法も終えた患者さんたちになります。長期に渡り治療をされてきている方になるため、すでに徐々に身体機能の低下が進行している方も一定数います。

特に予後が不良とされている患者さんの場合は、だんだんとこの時期に入る方もいるため理学療法士も「今、どの段階なのか」を意識して関わる必要がありますね。

私がこれまでに担当してきたことのある患者さんで言えば、術後も身体症状が軽減しないまま、放射腺治療・化学療法を実施されたため、その後の副作用も影響して運動療法が十分に進まないまま廃用が進行するケースもありました。

この時期のリハビリテーションの目的は可能な限りの廃用予防と、装具福祉用具を活用したQOLの維持になります。

予後が不良の場合であれば時間的な余裕がないため、早期からADLの確認、福祉用具やサービスの導入につなげげる必要があります。また自宅退院後、できる限り身体機能を維持するために自主訓練が必要となります。

緩和的リハ

【ポイント】

  • 身体症状に注意して介入
  • 介入内容は予後や身体症状や精神状態を総合的に判断し、医師とも検討する

この時期になるとリハビリテーションによる改善を大きく見込むことはできません。腫瘍の増大により症状が増悪してくると頭蓋内圧亢進症状による嘔吐や意識障害なども目立つようになってきます。

そのためどの程度の介入を行っていくかについては医師や看護師、またご家族と話あいながら検討していかなければなりません。

脳腫瘍の患者さんのリハを考える時は、患者さんの予後や治療の副作用を念頭に置きながら考える必要があるね!

さいごに

脳腫瘍の患者さんの病態は非常に多岐に渡ります。また腫瘍の悪性度によっては生命予後が大きく異なるため、それによっても私たち理学療法士が行うリハビリテーションの内容は大きく左右されます。

そのため理学療法士も脳腫瘍の病態や生命予後についての知識は必須となります。

1人1人の患者さんの状態をしっかりと評価しながら、その時期に応じた適切な関わり方を考える必要があります。

私が運営するYouTubeチャンネル「リハビリ・ラボ」では脳腫瘍の症状と生命予後について簡単に動画にまとめてあります。(7分程度)

ぜひ、ご覧ください。

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参考文献

標準理学療法学・作業療法学・言語聴覚療法学 別巻 がんのリハビリテーション 医学書院

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